【FP3級】所得税-所得控除(物的控除)について解説!
今回の学習
今回は所得税計算の流れのうち、所得控除のうち物的控除ついて見ていきましょう。
- 所得を10種類に分類する
- 各所得の損益を通算して(損益通算)、前年から繰り越された損失を控除する
- 総合所得から所得控除を差し引く
- 所得に税率を乗じて納税額を算出
- 総合所得:累進課税制度(一定の所得を越えた分は税率が高くなる)
- 分離課税:一定の税率(上場株式等20.315%(所得税15%))
- 算出した納税額から税額控除を差し引く
所得控除とは
所得控除とは、納税者の生活状況に合わせて、所得額から一定の金額を差し引くことができる制度です。所得控除を大きく分けると2種類に分類されます。
- 人的控除:納税者やその家族の事情を考慮した控除
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 物的控除:社会政策上の理由による控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険控除
- 医療費控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 寄付金控除
社会保険料控除
社会保険料控除は、納税者本人または生計を一にする親族にかかる健康保険、国民年金、厚生年金保険などの社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。
控除額は、支払った金額の全額です。
- 答え
-
〇
- 答え
-
×:確定拠出年金の掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象です。
生命保険料控除
生命保険料控除は、納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができます。生命保険料は、一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料に区分します。
区分 | 控除額 |
---|---|
一般の生命保険料 | 最高4万円 |
個人年金保険料 | 最高4万円 |
介護医療保険料 | 最高4万円 |
合計 | 最高12万円 |
- 答え
-
〇
地震保険料控除
地震保険料控除は、納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
控除額は支払った金額の全額で、最高5万円です。
医療費控除
通常の医療費控除
医療費控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、所得控除を受けることができます。
医療費控除額(*1)=支出した医療費-受取保険金(*2)-10万円(*3)
*1:上限200万円
*2:健康保険や生命保険などからの給付金
*3:総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額×5%
医療費控除を受けるためには確定申告時に、医療費控除の明細書を添付する必要があります。
- 医療費控除の対象となるもの
- 医師の診察費、治療費
- 治療に必要な薬代
- 治療のためのマッサージ代、はり師、きゅう師による施術代
- 出産費用
- 通院や入院のための交通費(ただし、電車やバスで通院できるにも関わらずタクシーで通院した場合は対象になりません)
- 医療費控除の対象にならないもの
- 美容整形
- 体の異常がない場合の定期検診や人間ドック費用
- 病気予防の医薬品代や健康食品代
- メガネ、コンタクトレンズの購入代金
- 入院時のパジャマや洗面用具などの日用品の費用
- 医師等の謝礼
セルフメディケーション税制
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円を超える対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。
控除額(*1)=支出した金額-12,000円
*1:上限88,000円
- セルフメディケーション税制のポイント
- 「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている居住者が対象となる(健康診断、人間ドック、予防接種、がん診断を受診)
- この特例を受ける場合は通常の医療費控除を受けることができない
- 答え
-
〇:治療か否かで判断すると覚えやすいです。
- 答え
-
×:電車やバスで通院できるにも関わらずタクシーで通院した場合は対象になりません
- 答え
-
×:通常の医療費控除とセルフメディケーション税制はいずれか一方を選択適用です。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について所得控除が受けられます。
控除額は支払った金額の全額です。なお、中小機構では掛金が月額1,000円から70,000円の範囲ないで自由に選択できます。
寄付金控除
寄付金控除の概要
寄付金控除は、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。
控除額=支出寄付金-2,000円
ふるさと納税
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。
ふるさと納税の対象となる返礼品は、寄付金に対して返礼割合が3割以下であり、その地域の地場産品である必要があります。なお、年間の寄付先が5自治体以下なら、確定申告を自身で行わなくても寄付金控除を受けられるワンストップ特例制度があります。
ワンストップ制度でなければ自身で税務署に対して寄付金受領証明書を確定申告書とともに提出する必要があります。
- 答え
-
×:寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。