【FP3級】相続-相続人・相続分・承認放棄
相続とは
相続とは、ある人が死亡したときにその人の資産と負債を、特定の人が引き継ぐことをいいます。簡単にいうと、亡くなった人の財産を配偶者や子どもといった関係者がもらうことです。相続では、この亡くなった人を「被相続人」、財産をもらう人を「相続人」といいます。
相続人
法定相続人
法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる人です。 遺言書があれば、相続できる人は法定相続人に限られませんが、遺言書がない場合は基本的に法定相続人同士で遺産分割について協議し、どのように相続するかを決めることになります。 法定相続人になる人は、被相続人の配偶者と被相続人の血族です。
相続人の範囲と順序
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。なお、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
血族相続人は先順位の人がいない場合に後順位の人が相続人となります。例えば、被相続人に妻・子供・父母がいる場合の相続人は、妻と子供であり、被相続人に妻と父母がいて子供がいない場合の相続人は、妻と父母になります。
相続人になれるのは被相続人の配偶者及び被相続人の血族であり、被相続人の姻族(いんぞく)に相続権はありません。そのため、上記の図で配偶者の父母(被相続人の義理の父母)や兄弟姉妹(義理の兄弟姉妹)には相続権はありません
相続人となれる子
子についてまずは言葉を見ていきましょう。
子の種類 | 内容 |
---|---|
実子(じっし) | 血の繋がりがある子 |
嫡出子 (ちゃくしゅつし) | 正式な婚姻関係のある人との間に生まれた子 |
非嫡出子 (ひちゃくしゅつし) | 正式な婚姻関係のない人との間に生まれた子 |
実子に含まれるが、被相続人が男性の場合は認知が必要となる | |
胎児 | 被相続人の死亡時に生まれていない子 |
実子に含まれるが、死産の場合は相続人にならない | |
養子 | 養子縁組により子となった者 |
普通養子 | 養子が実父母との親子関係を存続したまま、養父母との親子関係を作る縁組 |
養子は実父母と養父母の両方の相続人となる | |
特別養子 | 養子が実父母との親子関係を断ち、養父母との親子関係を作る縁組 |
用紙は養父母のみ相続人となる | |
血族 | 血がつながっている親族(父母、兄弟姉妹、子) |
姻族(いんぞく) | 婚姻によって発生する親族(義理の父母、義理の兄弟姉妹) |
直系尊属 (ちょっけいそんぞく) | 家系図で上にいる者(父母、祖父母) |
直系卑属 (ちょっけいひぞく) | 家系図で下にいる者(子、孫) |
認知とは、父母が法律上の婚姻関係にない場合に父親となるべき者が法律上の親子関係を生じさせるための制度です。
実子と養子と嫡出子と非嫡出子は同順位で相続権があります。
相続人になれない人
- 相続欠格者
- 特定の相続人が遺産を得るために不正行為をした人(被相続人を死亡させた、遺言書を偽造した等)
- 相続廃除者
- 被相続人に対して虐待や侮辱を行なっていた相続人の相続権を剥奪すること
- 相続放棄者
- 相続人は相続事由を知ってから3カ月以内に申し立てすると放棄できます。被相続人の資産より負債の方が大きい場合に相続放棄することがあります
- 相続開始以前に死亡している人
代襲相続(だいしゅうそうぞく)
代襲相続とは、本来相続人となる人が被相続人が亡くなるよりも前に死亡していた場合や、何らかの理由により相続権を失っている場合に、その人の子が代わりに被相続人の財産を相続することをいいます。 近年、高齢化が進むにつれ、親より先に子どもが亡くなることは珍しくありません。なお、相続放棄している場合は代襲相続は起こりませんが、相続人が欠格事由に該当していたり、廃除されている場合には代襲相続は発生します。
子(直系卑属)は再代襲、再々代襲がある
兄弟姉妹が死亡している場合は、兄弟姉妹の子までしか代襲相続は認められない
直系尊属は代襲相続は生じない
- 答え
-
〇
- 答え
-
〇:正しい記述。なお、放棄・欠格・廃除に該当しても、生命保険金の死亡保険金などは受け取ることができます。
- 答え
-
〇:胎児は死産でない限り相続人となります。
- 答え
-
×:放棄している場合は代襲相続は起こりません。
相続分
相続分とは
相続分とは、相続人が相続財産に対してもっている権利の割合で、指定相続分と法定相続分があります。
指定相続分
指定相続分とは、被相続人が遺言で定めた相続分であり、法定相続分より優先されます。
法定相続分
法定相続分とは、民法で定められた相続分のことをいいます。法定相続分は以下の様に相続人によって変わってきます。なお、配偶者がいない場合は各順位内で均等相続します。
相続人が配偶者のみの場合は、配偶者がすべて相続
相続人が配偶者と子の場合、配偶者1/2・子1/2
例えば、上記の図の様に相続人が配偶者と子2人の場合の相続分は、配偶者が1/2、子それぞれが1/4となります。仮に、配偶者がいない場合は子の数で均等相続します。被相続人の配偶者がすでに亡くなっており、子が2人いる場合の相続分は、子それぞれが1/2となります。
相続人が配偶者と直系尊属の場合、配偶者2/3・直系尊属1/3
仮に、配偶者がいない場合は直系尊属の数で均等相続します。被相続人の相続人が父母のみであれば、父母の相続分がそれぞれ1/2ずつとなります。
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
- 答え
-
×:相続人が配偶者と第3順位の血族相続人である場合、法定相続分は配偶者が3/4、第3順位の血族相続人(兄弟姉妹)は1/4です。そのため、正しい法定相続分は配偶者が3/4、兄と姉が1/8ずつです。
- 答え
-
〇:子(長男)は死亡しているため、孫(長男の子)が代襲相続します。
相続の承認と放棄
単純承認
単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続することです。仮に故人の財産が5,000万円で借金が4,000万円の場合、単純承認を選ぶと5,000万円の財産を受け取ることができますが、借金4,000万円を故人の代わりに弁済しなければいけません。
相続開始を知った時から3ヶ月以内に相続放棄または限定承認の手続きをとらない場合には自動的に単純承認となります。
相続放棄
相続放棄とは、プラスもマイナスも含めて全ての相続財産を引き継がないことです。つまり、相続財産の一切を放棄して、その相続関係から離脱することです。相続放棄は、家庭裁判所に対して、相続を知った日から3ヶ月以内にしなければなりません。また、相続放棄は相続人全員でする必要はなく、個々の相続人が単独で行うことができます。
限定承認
限定承認とは、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐ相続方法です。故人の財産が1,000万円で借金が4,000万円あり、限定承認を選んだ場合、弁済しなければいけない借金は1,000万円です。残りの借金3,000万円について、債権者は弁済を求めることができません。
限定承認も相続放棄と同様で、相続開始があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立てを行います。なお、限定承認は相続人の全員の同意が必要であり、一人でも限定承認に同意しない人がいると認められません。
- 答え
-
〇
- 答え
-
×:相続放棄は相続人全員でする必要はなく、個々の相続人が単独で行うことができます。