【FP3級】金融と投資の基礎
金融の基本
金融市場とは
金融市場とは、資金を貸し借りする市場のことです。 取引される商品の満期までの期間が1年以内である市場を短期金融市場、同じく1年を超える市場を長期金融市場といいます。
また、短期金融市場は、インターバンク市場とオープン市場に分けられます。インターバンク市場では、取引に参加するのは金融機関だけで、主な市場はコール市場である。オープン市場は、金融機関以外に一般企業などが取引に参加できます。債券現先市場、レポ市場、CP(コマーシャル・ペーパー)市場などがあります。
- 答え
-
〇
新発10年国債とは
新発10年国債(新規発行10年物国債)とは、新たに発行された償還期限が10年の国債です。 国債には償還期限が1年以内の「短期国債」から10年以内の「長期国債」、さらには15~40年の「超長期国債」など様々な種類があり、毎日のように発行されている。
新初10年国債利回りは長期金利の指標として利用されており、住宅ローン金利や企業への長期資金借り入れ利率の基準となってます。
金融政策
金融政策とは、日本銀行が日本の中央銀行として、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するため、通貨および金融の調節を行うことをいいます。主な金融政策には、公開市場操作および預金準備率操作があります。
公開市場操作
公開市場操作とは、日本銀行が短期金融市場で国債や手形、コマーシャルペーパーなどの売買を行って、市場に流通される資金量を調節することをいいます。公開市場操作には、売りオペレーションと買いオペレーションがあります。
- 売りオペレーション
- インフレ時など資金需要を抑える際に行う
- 市場に出回るお金が減るため金利は上昇する
- 買いオペレーション
- デフレ時など資金需要を高めるために行う
- 市場に出回るお金が増えるため金利は下落する
預金準備率操作
預金準備率とは、金融機関は日本銀行に対して、受け入れた預金等の一定比率以上を無利子で預け入れることが義務付けられており、この比率のことをいいます。この預金準備率を動かすことを預金準備率操作といいます。例えば、預金準備率を引き下げると、銀行の手元資金が増えるため、銀行は受け入れた預金の多くの割合を貸出に回せるようになり、金利は下落します。なお、補足ですが、一般的に預金準備率は一般的に0.5%~2.0%です。
- 答え
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〇:日本銀行が債券を銀行に売れば市場に出回るお金が減るため金利は上昇する
- 答え
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×:預金準備率を引き上げると銀行の手元資金が減り、貸し出し余力が低下し、金利は上昇します。
財政政策
財政政策とは
財政政策とは、政府が、歳入や歳出を通じて、経済に影響を及ぼす政策のことであり、中央銀行が行う金融政策とならぶ経済政策の柱です。 歳入面では増税(または減税)や国債発行の増減、歳出面では公共事業の拡大(または縮小)をすることによって、景気の拡大や抑制を図る政策です。財政政策には3つの機能があります。
- 資源再配分:政府が自ら公共財・サービスの供給を行う
- 所得再分配:所得格差を是正するために行われる累進所得税や相続税の賦課
- 経済の安定化:不況時には公共投資や減税を行い、インフレ時には金融引き締めを行う
金融政策と財政政策の違い
金融政策も財政政策のどちらも景気を調整するために行われますが、金融政策は日本銀行が、財政政策は日本政府が行います。
- 答え
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〇:金融緩和政策を行うと金利は下落します。金利を下げてお金を借りやすくすることで、景気を良くする狙いがあります。
投資のポートフォリオ
ポートフォリオ・アセットアロケーションとは
ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせのことをいいます。
アセットアロケーションとは、投資資金を国内株式、国内債券、海外株式、不動産などの複数の異なる資産(アセット)に配分することです。
例えば、投資資金の100%を1社で運用して、仮にその1社の業績悪化となった時に大きな損失が生じるため、投資家は投資資金をいくつかに配分して運用することで安定した収益を期待することができます。
どちらも投資資金をいくつかに配分することは同じですが、一般的に、ポートフォリオ運用は個別銘柄の組み合わせ(A株、B株)であることに対して、アセットアロケーション運用とは、資産分類(国内株式、海外株式)の組み合わせのことを指します。
ポートフォリオの期待収益率
期待収益率とは、各投資対象の1年当たりに見込まれる利益ですが、各資産ごとの期待収益率をポートフォリオの構成比で加重平均して、ポートフォリオ全体の期待収益率を算出することで、自身の投資資産の全体が1年間当たりどれだけ増減するかを把握することができます。
投資対象 | 期待収益率 | ポートフォリオ 構成比 |
---|---|---|
A株 | 1% | 20% |
B株 | 3% | 30% |
C株 | 5% | 50% |
全体 | 3.6% | 100% |
ポートフォリオ全体の期待収益率=1%×20%+3%×30%+5%×50%=3.6%
金融商品の世界でのリスクとは
普段「リスク」という言葉は「危険、あぶない」といった意味合いで使いますよね。ただ、金融商品の世界でリスクは、不確実性の大きさ(振れ幅の大きさ)のことを意味します。つまり、リスクが高い商品とは、利益が大きく生まれるかもしれないし、損失が大きく生じるかもしれないことを意味します。
リスクの種類
リスクの種類は多岐にわたりますが、一般的には、信用リスク・価格変動リスク、金利変動リスク、為替変動リスクがあります。
信用リスク | リスクが 高いと | 対象の商品を安く購入でき、高い利回りが期待できるが、 破産する可能性がある |
価格変動 リスク | リスクが 高いと | 大きく株価が上昇するかもしれないが、 下落する可能性もある |
金利変動 リスク | 金利が 上がると | 債券価格が下落する |
金利が 下がると | 債券価格は上昇する | |
為替変動 リスク | 円安に なると | 評価益が計上される |
円高に なると | 評価損が計上される |
リスクを軽減させるためには
人生100年時代の現在こそ、金融商品の魅力が少しずつ広がっておりますが、長期にわたって安定的に資産形成を行うにはリスクを軽減する必要があります。リスクを軽減させる方法は主に以下です。
- 複数銘柄に分散投資する(A社、B社、C社など)(ポートフォリオ運用)
- 投資対象の資産を分散させる(国内株式、海外株式)(アセットアロケーション運用)
- 投資タイミングの分散
- ドルコスト平均法(定期的に継続して一定額ずつ購入する)
また、リスクを軽減させるのに同じ動きをする金融商品に投資しては分散の効果があまりありません。例えば、同じ業種のA社とB社など。組み入れる資産や銘柄の値動きが同じか異なるかを見るには相関係数を使用します。
相関係数とは、-1から+1までの数値であり、-1に近づくほどリスク低減効果を期待できます(対象となる2つの値動きが逆)。逆に、+1に近づくほど対象となる2つの値動きが連動することを示します。
- 答え
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×:相関係数が-1に近づくほど2つの値動きが逆であることを示すため、リスクを軽減するためには相関係数が-1に近いほど良い。
- 答え
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×:相関係数が+1でない限り、リスク軽減効果はあります。