【FP3級】相続-遺産分割、遺言、遺留分、成年後見制度
遺産分割
遺産分割の種類
遺産分割の流れは、指定分割→協議分割→調停分割→審判分割です。
遺産分割の種類 | 内容 |
---|---|
指定分割 | 遺言書で誰が何を相続するのか指定する、他の分割方法より優先される |
協議分割 | 相続人全員で話し合って遺産の分け方を決めること、共同相続人全員の合意があれば、遺言内容や法定相続分と異なる分割をすることも可能 |
調停分割 | 分割協議が成立しない場合、家庭裁判所の調停により分割する方法 |
審判分割 | 調停分割が成立しない場合、家庭裁判所の審判により分割する方法 原則として法定相続分が基準となる |
調停とは、家庭裁判所が間に入って当事者で話し合いすることであり、審判とは、家庭裁判所が判定を下すことです。
遺産分割の方法
遺産分割の種類 | 内容 | メリット |
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現物分割 | 相続財産を現物のまま分割する方法 | 基本的には相続財産一つに対して一人の相続人が相続するため、わかりやすく手続きが比較的簡単 |
換価分割 | 相続財産の一部または全部を金銭に換えて、 その金銭を分割する方法 | 相続財産の全部または一部をお金に換えてしまうので、各相続人に公平に分けることができます |
代償分割 | 特定の相続人が相続財産を取得し、その代償として自己の財産を他の相続人に提供する方法 | 財産や不動産を売却せず引き継ぐことができ、 相続人毎に差が生じづらいため公平に分割しやすい |
共有分割 | 各相続人の持分割合を決めて、 共有財産として相続、所有する方法 | 財産や不動産をそのまま残すことができます。 不動産などでも公平に分割ができる |
配偶者居住権
配偶者居住権とは,夫婦の一方が亡くなった場合に,残された配偶者が, 亡くなった人が所有していた建物に,亡くなるまで又は一定の期間,無償で居住することができる権利です。 配偶者居住権は,夫婦の一方が亡くなった場合に,残された配偶者の居住権を保護するため,令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。なお、配偶者居住権を第3者に対抗するには登記が必要です。
- 答え
-
×:協議分割で遺産分割を行うには、共同相続人の全員の合意が必要です。
- 答え
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〇
遺言と遺贈(いぞう)
遺言と遺贈(いぞう)とは
遺言とは、被相続人(亡くなった方)が生前に自分の死後「どの相続財産を誰に、どのような形で、どれだけ渡すか」という最終の意思表示をするものです。遺贈とは、遺言によって特定の誰かに財産を引き継がせることです。
遺言の基本
- 満15歳以上で、意思能力があれば誰でも行うことができます
- いつでも全部または一部を変更できます
- 遺言書が複数出てきた場合は作成日の新しい方が有効
遺言の種類
遺言の種類には、まず大きく普通方式の遺言と、特別方式の遺言があります。特別方式は、死期が迫っている場合などの特殊な状況下にのみ用いられる例外的な方式です。そのため、一般的に遺言を作成する場合は普通方式が用いられます。FP3級では普通方式を学習しましょう。
普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
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内容 | 遺言者が遺言の全文、日付、氏名等を自書し押印 | 遺言者が口述し公証人が筆記 | 遺言者が作成した遺言に署名押印し封印、公証役場で申述 |
書式 | 自筆 | 公証人の筆記 | パソコン・代筆等も可 |
遺言書の検認 | 必要 | 不要 | 必要 |
公証人・立会人 | 不要 | 公証人1人 立会人2人 | 公証人1人 立会人2人 |
メリット | 簡単に作成できる | 信頼性が高い | 内容の秘密が守れる |
おすすめ度 | △ | 〇 | × |
その他 | パソコン作成は不可であるが、目録(資産一覧)はパソコン作成可能 | 原本は公正役場で保管 | パソコン作成や代筆も可能 |
一般的に秘密証書遺言はおすすめされません。理由としては、基本的には自分で書いて内容を秘密にできるため、法的に有効でない遺言になってしまっている可能性があり、遺言の中身の確認に家庭裁判所の検認が必要で、遺言書の滅失・隠匿の心配があるためです。
公証人・立会人に受遺者の配偶者や直系血族推定相続人などがかかわると遺言内容の公正さを保てないので、証人になれません。実際には、信頼できる友人、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するケースが多く見られます。
- 答え
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×:遺言は満15歳に達すると作成可能です。
- 答え
-
×:公正証書遺言は遺言の検認は不要です。
遺留分(いりゅうぶん)
遺留分(いりゅうぶん)
遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。 ・亡くなった方(被相続人)は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。 これが遺留分の制度です。例えば、被相続人が相続で、「全財産を、愛人(内縁の妻)に残す」という遺言があったとしても、奥さんなどの相続財産(遺留分)は法律で保証されています。
遺留分権利者
遺留分を請求する権利がある遺留分権利者は、配偶者、子・孫などの直系尊属、父母・祖父母などの直系尊属であり、兄弟姉妹には遺留分がありません。
遺留分の割合
遺留分の割合は基本的に法定相続分の1/2(親族で遺産全体の1/2)ですが(配偶者のみ、子のみ、配偶者と子など)、直系尊属(親や祖父母)しか相続人がいないときは、遺産総額の1/3が遺留分割合となります。
例えば、上の図の様に、相続人が配偶者と子2人の場合に、配偶者の遺留分割合は法定相続分1/2に遺留分1/2を乗じた1/4となり、子それぞれの遺留分割合は法定相続分1/4に1/2を乗じた1/8となります。つまり、直系尊属しか相続人がいない場合を除き、残された遺族は財産全体の1/2は遺族全員で維持することが可能です。裏を返せば、被相続人に直系尊属しか相続人がいない場合を除き、親族以外の人に遺言で財産は基本的に1/2までしか遺贈することはできません。
遺留分侵害額請求権
概要
被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与又は遺贈し,遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合,遺留分権利者は,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分を侵害されたとして,その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。 これを遺留分侵害額の請求といいます。
時効
- 相続開始と遺留分侵害を知ってから1年(消滅時効)
- 被相続人が死亡した事実と遺留分を侵害する遺言書や生前贈与を知ったら、そのときから1年以内に遺留分侵害額請求をしなければなりません。
- 相続開始から10年(除斥期間)
- 相続開始や遺留分を侵害する遺言書などの存在を遺留分権利者が知らなくても、相続開始から10年が経過すると遺留分侵害額請求権が消滅してしまいます。
- 答え
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×:全体の遺留分は1億8,000万円の1/2である9,000万円であり、これを法定相続分で按分したのが各人の遺留分であるため、子の遺留分は9,000万円の1/2である4,500万円である。
- 答え
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〇
成年後見制度
成年後見制度とは
成年後見制度とは、知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人が、いろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度です。
成年後見制度の種類
成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度があり、法定後見制度にはさらに、後見・補佐・補助の3つに分かれます。
任意後見制度 | 将来に判断能力が不十分になった時に備え、本人があらかじめ任意後見人を選任する制度 | |
法定後見制度 | 補助 | 軽い精神上の障害により判断能力が不十分な人を保護する制度 |
大体のことは自らできるが少々不安というレベルの人 | ||
保佐 | 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な人を保護する制度 | |
簡単なことは自らできるレベルの人 | ||
後見 | 精神上の障害により判断能力を欠く状況にある人を保護する制度 | |
ほとんど判断できない人 |
- 答え
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〇