【FP3級】所得税-山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得
今回の学習
今回は所得税計算の流れのうち、最初に所得を分類する必要があるため、いくつか所得の分類を見ていきましょう。
- 所得を10種類に分類する
- 各所得の損益を通算して(損益通算)、前年から繰り越された損失を控除する
- 総合課税と分離課税に分ける
- 総合所得から所得控除を差し引く
- 所得に税率を乗じて納税額を算出
- 総合所得:累進課税制度(一定の所得を越えた分は税率が高くなる)
- 分離課税:一定の税率(上場株式等20.315%(所得税15%))
- 算出した納税額から税額控除を差し引く
山林所得
山林所得の内容
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得です。ただし、山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。
山林所得の金額
山林所得=総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)-青色申告特別控除額
山林所得の課税方法
山林所得の課税方法は分離課税です。なお、確定申告は必要です。
譲渡所得
譲渡所得の内容
譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式などの資産を譲渡することによって生ずる所得です。なお、以下の資産の譲渡は非課税です。
- 生活用動産(家具、通勤用の車、衣服)
- ただし、貴金属・宝石・骨董品など1個30万円超の譲渡による所得は課税対象です。
- 国又は地方公共団体に対して財産を寄付した場合等の所得
譲渡でも、本業が商品売買による所得は事業所得、山林の売却は山林所得となります
譲渡所得の金額
譲渡所得の金額は、譲渡した資産を(1)土地・建物、(2)土地・建物・株式以外、(3)株式に分けて、さらに(1)(2)は所有期間5年以内、5年超に分けて計算します(5年超の方が税率が低くなります)。
土地・建物の譲渡
- 譲渡した年の1月1日時点の所有期間
- 5年以内:分離短期譲渡所得
- 5年超 :分離長期譲渡所得
- 所得の金額
- 総収入金額-(取得費+譲渡費用)
土地・建物・株式以外の資産の譲渡
- 所有期間
- 5年以内:総合短期譲渡所得
- 5年超 :総合長期譲渡所得
- 所得の金額
- 総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円)
株式の譲渡
- 株式等に係る譲渡所得(所有期間の年数による区分なし)
- 所得の金額
- 総収入金額-(取得費+譲渡費用+負債の利子)
特別控除額
土地・建物・株式以外の資産の譲渡は短期と長期と合わせて最高50万円の特別控除額があります。まず先に短期譲渡所得の譲渡益から控除し、残りがあれば長期譲渡所得の譲渡益から控除します。
取得費
取得費は購入代金+資産を取得するためにかかった付随費用です。なお、取得費が不明な場合や取得費が収入金額の5%に満たない場合は収入金額の5%を取得費とすることができます。
譲渡所得の課税方法
土地・建物・株式以外の資産の譲渡である総合短期譲渡所得、総合長期譲渡所得は総合課税です。そのため、累進課税となり、所得が大きければ納税額が大きくなります。なお、総合長期譲渡所得は、所得金額の2分の1だけを他の所得と合算します。例えば、骨董品を売却し、200万円の利益(所得)が生じたときに、所有期間5年以下であれば200万円が総合課税の対象となり、所有期間が5年超であれば200万円の2分の1である100万円が総合課税の対象になります。
また、土地・建物の譲渡と株式の譲渡は分離課税です。
資産 | 区分 | 税率等 (所得税、復興特別所得税、住民税) |
---|---|---|
土地建物 | 分離短期譲渡所得 | 39.63%(所30%,復0.63%,住9%) |
分離長期譲渡所得 | 20.315%(所15%,復0.315%,住5%) | |
土地建物株式以外 | 総合短期譲渡所得 | 総合課税 他の所得と合算して累進課税 |
総合長期譲渡所得÷2 | ||
株式 | 20.315%(所15%,復0.315%,住5%) |
- 答え
-
×:総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円)
- 答え
-
×:分離譲渡所得の所有期間は取得日から売却日が属する年の1月1日までの期間です。そのため、2023年1月1日時点では所有期間5年以下のため、分離短期所得となります。
- 答え
-
〇
一時所得
一時所得の内容
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得です。
- 一時所得の例
- 懸賞や福引きの賞金品
- 競馬や競輪の払戻金
- 生命保険金の満期保険金や損害保険の満期返戻金
宝くじの当選金やノーベル賞の賞金などは非課税です
一時所得の金額
一時所得=総収入金額-支出金額-特別控除額(最高50万円)
一時所得の課税方法
一時所得の課税方法は総合課税です。そのため、累進課税となり、所得が大きければ納税額が大きくなります。ただし、総合長期譲渡所得の様に、一時所得の金額を2分の1した金額が他の所得と合算されます。
- 答え
-
×:前半の記載は正しいですが、一時所得は2分の1をした金額が総合課税の対象となります。
雑所得
雑所得の内容
雑所得とは、他の9個の所得に当てはまらない所得です。
- 雑所得の例
- 公的年金等の雑所得
- 国民年金、厚生年金などの公的年金
- 公的年金等以外の雑所得
- 生命保険の個人年金保険
- 講演料や作家以外の原稿料など
- 公的年金等の雑所得
遺族年金や障害年金は非課税です
雑所得の金額
雑所得=公的年金等の雑所得+公的年金等以外の雑所得
公的年金等の雑所得 =収入金額-公的年金等控除額
公的年金等以外の雑所得=総収入金額-必要経費
雑所得の課税方法
雑所得の課税方法は総合課税です。そのため、累進課税となり、所得が大きければ納税額が大きくなります。また、確定申告が必要です。
- 答え
-
〇