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実家を相続することになったら、どうする? 相続税の申告や名義変更について解説!

taku7983
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実家を相続する際の選択肢は?

「実家の相続が発生した」ということは、つまり、親が亡くなったケースがほとんどであると考えられます。実家を相続する際には、以下のような選択肢が考えられます。

1-1. 自分や親族が居住する 実家を自分や親族が相続して居住する場合は、固定資産税などの保有税が毎年かかることや、老朽化が進んでいる場合は修繕が必要になることなどが注意点です。

1-2. 売却または賃貸に出す 売却や賃貸に出す場合は、複数の不動産業者に相談することをお勧めします。地域の相場を確認し、どのように処理するかを検討する必要があります。立地条件が良好であり、借り手が容易に見つかるような物件であれば、リフォームを施して賃貸に出すことも有効です。また、相続した空き家を売却する際には、特例(税制優遇)により、利益(譲渡所得)から最高3000万円が控除されることがあります。

1-3. 解体して有効活用する 実家の建物を解体し、土地を有効活用する場合、駐車場、アパート、ロードサイド店舗など、さまざまな選択肢があります。土地の広さや立地に合わせて適切な利用方法を検討するとよいでしょう。ただし、建物の解体費用が少なくとも100万円前後かかることや、土地を放置すると固定資産税が最大6倍に増加する可能性があることに注意が必要です。

1-4. 相続権を放棄するか、限定的に受け入れる 相続権を放棄したい場合、相続権放棄が考えられます。ただし、実家だけを放棄することはできず、すべての相続財産を放棄することになるため、慎重に考える必要があります。ただし、受益者である生命保険金などは引き続き受け取ることができます。

限定的な受け入れは、故人の債務などのマイナス財産について、相続財産のプラス財産の範囲内で相続人が責任を負うことを意味します。ただし、手続きが非常に複雑であり、実際に利用する人は少ないと言われています。

相続放棄や限定的な受け入れの手続きには、相続開始後3か月以内に行わなければなりません。

実家を相続するのに必要な手続きと覚えておくべき3つの期限

実家の相続を検討する場合、最初に押さえておくべきことは、相続が発生した時点から、一定期間内に行わなければならない手続きが存在するということです。

覚えておくべき期限は、3カ月、4カ月、10カ月です。

2-1. 財産の調査と遺言書の確認 相続が発生した直後に行うべきなのは、亡くなった人の財産状況を詳細に調査することです。金融機関(銀行、証券会社、保険会社など)に連絡して、口座の確認をすることが重要です。特に、秘密の債務がある可能性がある場合など、調査に時間がかかる場合もあります。

また、遺言書やエンディングノートの有無も早急に確認することが望ましいです。これらの有無は、遺産分割の円滑な進行に影響を与える可能性があります。手書きの遺言書がある場合は、速やかに家庭裁判所に提出して「検認」を申請する必要があります。

公正な遺言書があれば、それに基づいて遺産分割を行うのが一般的です。エンディングノートは法的な効力はありませんが、亡くなった人の意思を確認するための重要な情報源となるでしょう。

2-2. 相続放棄や限定承認の期限は3カ月 親の死後、急いでやらなければならないのが「3カ月」の期限です。これは、相続放棄や限定承認を行うための期限です。一般的には、相続が始まったことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所に届け出る必要があります。

特に、亡くなった人が多額の借金を抱えている場合は、相続放棄や限定承認を検討することが重要です。相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(債務など)も含まれる場合があります。プラスよりもマイナスの財産が多い場合、3カ月以内に相続放棄または限定承認をしないと、相続人が残された債務を負担しなければなりません。相続を拒否する場合は、迅速な判断が求められます。

相続放棄は個人で行うことができますが、限定承認は相続人全体で行う必要があります。どちらもメリットとデメリットがありますので、検討する際には法律に詳しい専門家に相談することが望ましいです。また、3カ月の期限を過ぎると、通常は単純承認となり、全ての財産を相続することになります。

2-3. 準確定申告の期限は4カ月 次の期限は「4カ月」です。これは、亡くなった親の所得税申告の期限です。亡くなった年の1月1日から亡くなる日までの年金などの所得について、所得税の申告が必要です。

ただし、その年の年金収入が400万円以下で、その他の所得が20万円以下であれば、所得税の申告は不要です。したがって、不動産所得などで所得が多い場合や、医療費控除などで所得税の還付を受けることができる場合を除き、準確定申告はあまり心配する必要はありません。

2-4. 相続税の申告と納付の期限は10カ月 最後の期限は「10カ月」です。これは相続税の申告と納付の期限です。ただし、亡くなった人の財産が、「相続税の基礎控除」の範囲内であれば、相続税は課税されず、申告の必要もありません。相続税の基礎控除額は、「3000万円+法定相続人の数×600万円」です。

相続税が本当に課税されないのか、申告の必要性を調査することが重要です。不安がある場合は、相続税に詳しい税理士や税務署に相談することをお勧めします。

2-5. 遺産分割協議書や名義変更も早めに 相続税の申告のような厳格な期限はありませんが、遺言書が存在しない場合の遺産分割協議は、早期に着手することが重要です。複数の相続人がいる場合、協議の遅延はそれぞれの相続税額に影響を及ぼす可能性があります。

相続税が課されない場合でも、銀行や証券会社の口座の引き継ぎや、実家の名義変更(相続登記)の手続きを行う際には、遺産分割協議書や全ての相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、印鑑証明などが必要です。早期に協議を始めることをお勧めします。協議書の作成については、相続に精通した弁護士や司法書士、行政書士に相談することができます。

また、自身が実家を相続することが確定した場合は、まず相続登記を行うことで、自由に処分できるようになります。相続登記は以前は義務ではありませんでしたが、2024年4月から義務化される予定です。相続登記を3年以内に行わないと、10万円以下の過料が科される可能性がありますので、ご注意ください。

実家を相続したときにかかる税金

実家の相続には、相続税と登録免許税がかかります。

3-1. 相続税 相続税の計算では、亡くなった方の名義である財産の中で、現金や株式などの金融商品は通常、その時の市場価値で評価されます。一方、実家などの不動産については、建物は固定資産税の評価額が基準となります。土地については、相続税評価額は相続税路線価に基づく路線価方式または、固定資産税の評価額を元にした倍率方式で算出されます。

3-2. 登録免許税 登録免許税は、登記手続きに関連する税金です。相続登記の場合、不動産の固定資産税評価額の0.4%が課税されます。この税率は、売買や贈与による所有権移転登記の際の登録免許税の税率2%に比べて、5分の1の税率となっています。

実家を相続するとき考慮すべき相続税の節税方法

実家を相続したときに使える節税方法としては、まず、小規模宅地等の特例があります。この特例は、通常、亡くなった人と同居していた配偶者などが受けられるもので、特定居住用宅地等に該当する土地は、330平方メートルまで80%評価額を減額してくれる制度です。

仮に1億円の評価額の土地だったとしても、80%減額されて2000万円で評価してもらえるのです。かなりの優遇だと言えます。ただし、この制度を、亡くなった人と同居していなかった子が使うためには、亡くなった人に配偶者がいないことや、マイホームを持っていないことなどの要件を満たす必要があります。

配偶者には、その婚姻期間の長短にかかわらず、相続税について大きな優遇が用意されています。それが、配偶者の相続税の税額軽減です。この制度があることで、配偶者は、相続した財産の金額が1億6000万円か、法定相続分相当額の、どちらか多い金額まで相続税は全くかかりません。

つまり、配偶者と子が相続人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1になりますので、相続財産の評価額の合計が100億円だったとしても、配偶者は50億円までの相続なら、相続税は1円もかからないのです。

実家の相続の場合も、亡くなった人(例えば、父親)の配偶者(母親)が健在なのであれば、この配偶者の税額軽減を上手に使うことで、トータルの相続税を減らすことが可能でしょう。ただし、配偶者の税額軽減は、納税額がゼロでも確定申告が必要です。また、将来的に配偶者(母親など)が亡くなったときの相続(二次相続)の対策も必要になる可能性がある点には注意が必要です。

相続した実家が空き家の場合、一定の要件を満たすと、その空き家を売却(譲渡)したときに譲渡益から3000万円を差し引くことができる特別控除の制度があります。つまり、空き家を売ったことによる利益が3000万円以内なら、所得税がかからないということです。
主な要件としては、以下が挙げられます。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること
  • 相続開始直前に亡くなった人以外に住んでいた人がいないこと
  • 令和5年12月31日までの売却であること
  • 売却代金が1億円以下であること

相続した実家などの財産を一定期間内(相続税の申告期限から3年以内)に売却(譲渡)した場合に、相続税額の一部を取得費に加算できる制度があります。それが、相続財産譲渡時の取得費の特例です。

通常、譲渡益を計算する際には、売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いて計算します。相続した財産の取得費は、原則として被相続人の取得費を引き継ぎます。このとき、この特例を使えば、相続税額の一部を取得費に加算して、譲渡益を少しでも減らせるわけです。なお、この取得費の特例は、相続空き家の3000万円特別控除と併用することはできません。

実家を相続する際の注意点

5-1. 共有は問題の元になることがあります 実家の土地や建物を複数の人で共有することは、将来的に問題を引き起こす可能性があるため、土地や建物を細かく分割することは避けた方が賢明です。例えば、実家の不動産を長男が1/2、次男が1/2として共有すると、将来的な売却や賃貸の手続きが複雑になるだけでなく、相続時に親戚間での紛争の原因にもなります。

5-2. 空き家にせずに管理する 近年、空き家問題が深刻化しており、2015年2月には「空き家対策特別措置法」が施行されました。相続した実家を放置して空き家にすると、税金の負担が増えたり、行政から費用負担を求められたり、近隣住民からの損害賠償請求のリスクが生じる可能性があります。専門家に相談して、物件の状況に応じた適切な管理方法を検討しましょう。

5-3. 相続財産の公平な分配 相続人にきょうだいがいる場合、実家を相続する人とその他の相続人との間で財産を公平に分配することは難しい場合があります。現金など他の財産があれば問題ありませんが、そうでない場合は紛争の原因となる可能性があります。このような場合、相続した人が他の相続人に代償金を支払って清算する「代償分割」が考えられます。

まとめ

相続手続きは複雑で、さまざまな手続きを迅速に行う必要があります。実家の相続においては、将来の用途に応じて居住するか、売却するかなどを決定することで、後続の手続きや税金の取り扱いも異なります。迷った場合は、司法書士や弁護士、税理士などの専門家に早めに相談することで、安心して進めることができます。

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